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自閉症スペクトラム障害(ASD)にはアートセラピーが有効的!


この絵はアイリス・グレイス(Iris Grace)ちゃん(当時5歳)が描きました。

イギリス中部レスターシャーの村で両親と暮らすアイリスは、

2歳の時に重度の「自閉症スペクトラム障害」と診断されました。

誰とも目を合わせない、声を発しない、大きな音が我慢できない、全然寝ない

アイリスの母、アラベラ・カーター・ジョンソンさんは、

「自閉症」という診断を下されても、

適切な治療や支援もないまま、

何をどうすればいいのか戸惑い

娘を理解しようと奮闘しました。

言語療法の一環としてたまたま絵を描かせたところ、

アイリスちゃんの非凡な才能を発見。

数々の絵はフェイスブックで話題になり

世界の人の心を捉えました。

彼女はまだ話すことはできませんが、

絵を通して、両親と世界とコミュニケーションをしようとしています。

アイリスちゃんの絵をもっと見たい方はこちらをクリックしてみて下さい

アイリスちゃんの絵はもちろん、自閉症スペクトラムについての詳しい情報も載っています。(英語サイト)

https://irisgracepainting.com/

現場でとても効果があがっているにも関わらず

科学的データがないため、

アートセラピーが自閉症スペクトラム(ASD)に

有効であることがなかなか表に出てこないままです(;_:)

アートセラピーを定期的に受けた

ASDの子どもたちを追跡調査したいくつかの報告によると

子どもたちは

・自宅と同じくらいリラックスし、

・問題行動が減り、

・柔軟性が生まれ、

・自分に自信を持ち始め、

・計画性が上がり、

・コミュニケーション能力が向上し、

・表現力豊かになり、

・自分の困っている問題をセラピストに話すことができるまでになった

という事例が近年たくさん報告されています。

(Emery, 2004; Gilroy, 2006; Pioch, 2010; Teeuw,2011)

アートセラピーの現場に両親や家族が参加すると

その効果はさらに上がっているとのこと。

(Schothorst et at., 2009, Werheiji, Westermann, & Manurer 2014)

(ただ、倫理的な問題で親同伴のカウンセリングは一般的ではありません)

<自閉症スペクトラム障害(ASD)ってなんだろう?>

簡単に言えば3つの特徴があります。

1.社会性と対人関係の問題

2.コミュニケーション

3.行動や興味の偏り

(American Psychiatric Association, 2013; De Bildt et al., 2007; Doreleijers, Boer, Huisman, Vermeiren, & De Haan, 2006; Rozga, Andersson, & Robons, 2011)

https://www.psychiatry.org/patients-families/autism/what-is-autism-spectrum-disorder

もっと簡単に言うと、

他人の表情、考え、気持ちがくみ取るのが苦手で、

目を合わせるのも苦手、

言葉が理解できないことが多く、

おしゃべりも苦手です。

強いこだわりがあり、

同じことを繰り返すことが好きです。

原因には諸説ありますが、

医学的根拠はまだ分かっていません。

ただ、先天的な発達障害と言われていて、

遺伝的な要因と環境要因が影響しあって生じた、

というのが

今のところの見解です。

現在アメリカでは68人に1人もASDと診断されています。

(アメリカ疾病予防管理センター、2010)

2008年にくらべ30%も増加しています。

これは、アスペルガー症候群がASDに加えられたこと

家族の意識が高まり早めの診断が行われているのにも

原因がありそうですが、

それにしても

数は増えている。

日本の詳しいデータは見つけられませんでしたが、

2013年時点で圧制労働科学研究の調査によると

発達障害と思われる子どもが全体の少なくとも10%、

そのうちASDと思われる割合は7%とのこと。

http://www.autism.or.jp/autism05/201409-honda.htm>

<自閉症スペクトラムの治療法>

残念ながら治療法はまだ開発されていませんが、

一般的には「療育」で発達を促したり、

のびのびして暮らせる環境を作ること、

とのことでした。

「のびのび」ということばは

とても抽象的で分かりにくい言葉ですが、

つまり、リラックスできる、ということ、

さらに具体的に言うと

自分は自分でOKなんだ、

という自己受容の感覚(I am OK感)と

認められている、自分はここにいてもOKなんだ(所属感)

という感覚をもてていること。

ここが一番大切な部分。

そのための最初のステップは

お互いのプラスの言葉かけです。

ある心理学の研究(Pinsker & Russell ,1978)では

プラスの言葉がけがあったグループと

そうでないグループ(17~35歳、黒人・白色系米人)では

表皮の温度に大差がでたとのこと。

表皮の温度は感情と密接に関係があることは

過去の研究で実証されてきました。

(Mitteleman & Wolf,1939; Russell, 1972; Taub, 1977)

緊張、不安、恐れ、葛藤があると手足が冷たくなり、

安心すると手の温度が上がるのは

私たちも体験的にしっていますよね。

<自閉症スペクトラムにはアートセラピー!>

5感を刺激し、

集中力を養い、

認知の発達を促し、

リラックスの感覚を身につけることができ、

自己表現を通して他の人との交流も可能にする

アートセラピーには期待が高まります。

ただこの分野の歴史は100年にも満たないため、

信頼性と情報量が少ないことが普及しない壁になっているようです。

もう一つの壁はトレーニングをうけた

アートセラピストが日本に少なすぎること。

欧米では、アートセラピスト(芸術療法家)は心理学とアートの

修士レベルのトレーニングを受け、

臨床家として活躍できる場所がちゃんとあるのですが、

日本では一部のカウンセラーが取り入れているのですが、

まだまだ専門家としての基準が設けられていないのが現状です。

日本でも認知度が高まる日が来るのを本当に心待ちにしています。

Reference:

Schweizer, C., Spreen, M. & Knorth. J. E.(2017). Exploring What Works in Art Therapy With Children With Autisum: Tacit knowledge of Art Therapists.


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