まねる~The first trial of communication to the world~
小学生頃までの子どもたちは、
基本的に人なつっこい。
初対面でもすぐに仲良くなれる。
でも、中にはクラスに馴染めなかったり、
すぐ暴力的になったり、
感情的になったり、
自分の殻に閉じこもったりする
子どもたちもいる。
こういった子どもたちにはまず、
同じレベルまで下がって、
「遊び」という言葉を使って、
息づかいを合わせ、
気持ちをチューニングしていくと
ゆっくりと心の扉を開いてくれる。
赤ちゃん研究が進むにつれて
私たちの中に「外界と積極的に接したい、つながりたい!」
という欲求が生まれながらにしてあることが
科学的にも分かってきている。
乳児は生後20分で、
舌をだした大人の真似をして
自分の舌を出すことができるという(Meltzoff,2007)
もちろん乳児は、それが「舌」だということは知らないが、
見たものを身体的ジェスチャーに変えて表現できる。
さらに生後2日で、
笑顔、しかめっ面、驚きなどの表情を
模倣することもできるようだ。(Field,2007)
ある研究では、
大人のジェスチャーを模倣すると心拍数が増し、
大人に自分のを模倣してもらうと心拍数が下がり穏やかになった。
くしゃみなどの付随運動は積極的には真似しないことから、
乳児は明らかに模倣しながら世界とコミュニケーションを
とろうとしていることが分かる。 (Trevarthen&Aitken,2001)
こんな風に、赤ちゃんと母親は
互いを真似しあい、共鳴しあいながら、
お互いのリズムに慣れ、
絆を作っていく。
「対人関係の能力」を十分に発達させるためには
共鳴しあえる「相手」が必用である。
また、この時期に他者に理解される、という経験が
後の感情コントロールや自己理解、対人関係の基礎を作る。
(Music, 2011)
なかなかクラスに馴染めなく、
感情的になる子どもたちは
こういった経験が少なかった子たちも多いのだろう。
「共鳴」し「共感」しながら
響きあう関係を作っていくことで
「世界は安全なんだ」という感覚が生まれ、
そして、プラスのやりとりが「自信」を生み、
「他者理解」へとつながる。
保護者、保育士さんやカウンセラーの大切な役目。
コミュニケーションうまく取れないとき、
ものごとがうまく運ばないとき、
私達大人もモデルを探して「まねて」練習してみよう。