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見守る~watching over~


子どもたちの笑い声や歌声が

たえず響きわたるアートの時間。

幼稚園、保育園でのアートセラピー(芸術療法)の現場は

一見とても平和な空気が流れている。

アートセラピストも子どもたちの間を行き来しながら

のんびりと過ごしている。

美術教師のようにアートのテクニックを教えるわけでなく、

保育士や看護師ように子どもたちと遊んだり、

お世話したりするわけでなく、

ともすると仕事をしていないんじゃないか、

とおしかりを受けるような仕事ぶり。

でも、私たちの仕事で重要なことは

「何もしないこと」。

言葉を用いたカウンセリングセッションでの

「沈黙」と同じ役割だ。

「こうしたらいいよ」

「今日はこれをしよう」

「とても上手だね」といった

指示や評価は、

クライエントが自分の心と対話する機会を奪ってしまう。

素の自分を自由に表現できる

「安心できる空間」

を作ること。

「先生たちは、ダメとは言わないし、これしなさいとも言わない」

「自由にしていいんだ」

「ここにいてもいいんだ」

という「安心感」のある空間を提供できたら、

子どもたちは自発的に自由に絵を描き出す。

そのためには私たちは教えてはいけないし、

指示もできるだけ避け、

「見守る」ことに徹する。

子どもたちの絵画は「自発的」なものほど

心の奥深くにある言葉にならないものが湧き出てくる。

イメージが物語を作り、

子どもたちの心を語りだすまで、

「待つ」のが2つめの大切な仕事。

一般に子どもたちは自分の感情を言葉で表現するのが苦手である。

この「安全な守られた空間」のなかで

セラピストの存在を感じながら

うまく伝えられないでいる「問題」、

閉じ込めてきた「苦しみ」を非言語で表現できると

ひとりでに困難を乗り越えていける。(1992,C.Case/T.Dalley)

大人も同じ。

「見守ってくれる誰か」がいるだけで、

「認めてくれる誰か」がいるだけで、

私たちは安心して「自分を見つめる心の旅」を

続けることができる。


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