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グループの力、一人の力


いつもの3、4歳児のグループに一人欠席がいた。

長いお休み、つまり引っ越しだった。

いつものようにセッションが始まると、

いつもとは全く違った子どもたちの雰囲気。

いつも静かに絵を描いていたNくんは、

のびのびと話しながら楽しそうに描き♪

コミュニケーションがスムーズにいかないAくんは

積極的に話しかけてきて、笑顔(*^_^*)さえみられ、

個人プレーだった女の子グループは

お互い励ましあい、助け合い、

結束力☆が固まっていた。

違うクラスに来てしまったのか、

みんな演技をしているのか、

夢でも見ているのか。

ホッとしたことに、

私だけの錯覚ではなく、

先生方もその「劇的な変化」に気づいていた。

何が変わったか。

グループから一人抜けた、

ということだけ。

グループダイナミックスという社会心理学の考えがある。

心理学者のクルト・レヴィンによって研究された集団力学のことで、

集団の中で、人の行動や思考は、集団から影響を受け、

また、集団に対しても影響を与えるというような集団特性を研究している分野だ。

子どもたちの反応はダイレクトだ。

一人抜けることにより、

今までのグループのバランスが変わり、

残りの子どもたちの関係、

先生との関係も変わり、

今まで見たこともなかった側面が見えてきたようだ。

望むと望まないとに関わらず、私たちは集団の中で生きている。

1人で孤島に住んでいたとしても、

「環境」という自然の中で生き、生かされ、

その関わりを断って生きることはできない。

私たちは環境の影響を大きく受ける生き物であると同時に、

環境へも大きく影響を与える存在でもある。

今日のセッションでは、

私たちが意識していない所で

お互いがどう影響を与え合っているかを知ることができ、

また3、4歳であっても、もうグループと深く関わりながら生きている、

ということが分かった貴重な機会だった。

行き詰った時は、やり方を変えてみる、

無理なら、今度は環境を変えてみる。

すると、にっちもさっちもいかず八方ふさがりに見えた世界に新しく道ができる。

小さい頃の経験が大きくなって、生かされるといいな、と切に願う。

フランスの絵本作家、ミュリエル・マンゴーは

「黒グルミの殻のなかに」という作品の中で、

このテーマを死を題材に見事に描いている。

ご興味ある方は

   ↓

<内容紹介>

病に倒れた母を救うため、息子のポールは死神を黒グルミの中に閉じ込める。ところがそのせいで、世界に「死」がなくなってしまう。「死」のない世界では、畑の作物は収穫できず、卵もかえらない。「生」と絶対に切り離すことができない「死」。母に命のおきてを教えられたポールは、黒グルミを探す旅に出る。


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